2018年度本試験において、一般知識の出題傾向が変わったことが話題になりました。
前年には見られなかった、行政書士実務に関する出題が複数あったのです。
もっとも、一般知識の正式名称は「行政書士の業務に関連する一般知識等」なわけですから、これが本来の姿とも言えますが。
そんなわけで、2019年度本試験に向けては、行政書士業務についても多少知っている方が有利になりそうです。
そこでおすすめしたいのが、『黒沢レオ発!行政書士プラクティス』という書籍。
この記事では、『行政書士プラクティス』の特色と、本書を学習に取り入れるメリットをお伝えします。
目次
『行政書士プラクティス』の特色
『行政書士プラクティス』とは、受験知識が実務でどのように活きるのかを、実例をもとに解説した書籍です。
著者はLEC講師(当時)で実務家の黒沢怜央先生で、2015年に発刊されました。
ここから、本書をくわしくご紹介します。
さまざまな行政書士業務を知ることができる
本書は、さまざまな行政書士業務を紹介しながら、関係する受験知識を解説するスタイルで書かれています。
どんな依頼があり、どのように対応したかというストーリーが書かれているため、実務を疑似体験できるでしょう。
各ストーリーは4ページで完結し、全部で40のストーリーが収録されています。
取り上げられる業務はさまざまで、以下の業務をはじめ、行政書士の代表的な業務が網羅されています。
- 宅建業許可
- 風営法許可
- 会社設立
- 農地転用許可
- 相続・遺言
- 任意後見契約
本書を読めば、合格後をイメージしながら学習に取り組むことができるでしょう。
受験知識に具体的イメージを持てる
本書は各ストーリーの中で、関係する受験知識の解説を行なっています。
たとえば宅建業許可の話では、行政手続法の「申請に対する処分」を、風営法許可の話では「聴聞手続」を解説。
会社設立の話では会社法の「設立」や「株主総会」、任意後見の話では民法の「後見」や「相続」を解説しています。
その他、憲法や一般知識の内容にも触れており、受験知識を実務と関連付けて理解することができるでしょう。
法律の勉強をしていると、具体例をイメージできないために理解が進まないことがよくあります。
本書はそんな受験生の悩みに応える一冊だと思います。
一般知識対策にも効果あり?!
冒頭でも述べたとおり、2018年度本試験の一般知識科目では、行政書士実務に関する問題が複数出されました。
テーマになったのは外国人技能実習制度や風営法などです。
これまで政治・経済・社会の一般常識を問われることが多かったことからすると、出題方針が変化したのかもしれません。
そうであれば、2019年度以降の対策としては、行政書士が関わる業務についてもある程度は知っていた方が安心です。
その点で本書は、業務の種類や流れを知るのに役立つと思います。
まず行政書士業務の種類を知り、それに関連するニュースにアンテナを張っておくと、良い対策ができそうです。
『行政書士プラクティス』の注意点
本書は2015年3月現在の法律に基づいて書かれています。
現在では改正されている法律もあるので、細かな部分については最新版のテキストで確認する必要があるでしょう。
たとえば民法の相続分野では、遺言の方式に関する変更がありました。
本書の内容が一部古くなっていることに注意してください。
なお、行政不服審査法は2016年に大きな改正がありましたが、本書はその直前に発刊されたためか、この法律は取り上げていないようです。
2019年現在、本書の情報に大きな変更はないと思います。
他になかなかない内容なので、法改正に注意すれば、とても有益な書籍と言えるでしょう。
ただし、本書は現在ほとんどのショップで在庫がなく、増刷の予定もない模様。
入手したい場合は中古品を探すことになりそうです>_<
まとめ
『黒沢レオ発!行政書士プラクティス』は、行政書士業務を疑似体験しながら受験知識を理解できる書籍です。
2019年度の一般知識対策としても有用でしょう。
ただし、細かな法改正には注意してください。
現在増刷の予定はなさそうですが、とても良い本なので改訂版を期待しています。