前回は、行政書士試験において複数科目を並行学習することのメリットについてお伝えしました。
同期間に複数の科目を勉強するのが効率的という話です。
今回は科目ごとの学習に焦点を当てていきます。
初学者にとって法律学習は大変です。とくに行政法や民法は、合格レベルの理解を得るまでに苦労します。
では、各科目を理解するために1冊を何度も読むのが良いのでしょうか?
それとも多くの本を読むのが良いのでしょうか?
もちろん同じ本を複数回読むのも大切なのですが、複数の本を読むことによってより深い理解が得られます。
この記事では、そう言える理由と実践方法をお伝えします。
目次
複数の本を読むと理解が深まる理由
1つのことを学ぶために複数の本を読むことが効果的である理由について考えてみます。
異なる表現に触れることができる
著者が変われば説明の仕方も違ってきます。
また、本にはそれぞれ目的(役割)があり、それに沿った書き方がされています。
たとえば行政書士試験の参考書でも、
- 全体像を伝えるための本
- 詳しく理解させるための本
- 応用力を養うことを目的とした本
などいろいろありますよね。
結果として、同じテーマについて説明してはいても、各参考書は異なる表現で書かれています。
ある本では理解できなかったテーマも、別の本で読めば理解できるかもしれません。
異なる表現を重ね合わせることによって理解が深まることもあります。
他の本との共通点から、どこが重要なのかが見えてくる
ある本で「ここは重要!」と書かれていても、重要度がはっきりわからないことがあります。
著者の主観が入っているかもしれないからです。
一方、複数の本で強調されていればそこが重要な点だと確信が持てます。
行政法にも民法にも「ここは絶対に押さえておきたい!」という重要ポイントがあります。
そのような要点はどの参考書でも詳しく書かれているので、複数の本を読んでいるうちに「結局これってこういう意味なんじゃないか?」と、腑に落ちるときがくるのです。
複数の本を読むことは、各科目の要点を習得するのに役立ちます。
共通点を見いだしていくことで法律の本質をつかむことができるというわけです。
結果として法律を構造から深く理解できる
以上のように、複数の本を読めば1つのテーマを異なる表現で学ぶことができ、他の本との共通点から本質を見いだしていくことができます。
そのことは法律の構造を理解することに繋がります。
「行政法って全体としてこんな繋がりがあるんだ!」というような発見があるのです。
法律は箇条書きで書かれていますが、じつはしっかりした論理構造があります。
資格対策ではそれをつかむことが大切です。
法律の構造を理解すると知識として忘れにくいうえ、応用が効きやすくなるからです。
複数の参考書を読むことは、難しい内容を骨格から理解するうえで効果的と言えるでしょう。
複数の本を読むうえでのポイントと注意点
理解を深めるためには、ただ多くの本を読めばよいわけではありません。
ここから、複数の本を読むうえで心掛けるべきことを考えていきます。
目的(役割)の異なる本を読む
書かれた目的が異なる本を読むと理解が深まりやすいので、せっかく複数の本を読むなら目的の異なる本を読むとよいでしょう。
ちなみに私は行政法と民法の理解を深めるために3つの参考書を使いました。
●行政書士試験の全体像をつかむことができる『基本テキスト』
●文章主体の解説で深く理解することができる『よくわかる』シリーズ
●実際に問題を解くための考え方にポイントを置いた『解法スキル完全マスター』
このように、目的の異なる複数の参考書を使って理解を深めるのがおすすめです。
1冊をじっくり読むのも大切
複数の本を読むと理解が深まりますが、種類が多いほど良いというわけでもありません。
著者の主観はどの本にも少なからず入っているため、情報の多さで混乱するリスクもあるからです。
資格勉強の場合は時間も限られているので、有用な参考書にしぼっていくほうが良いでしょう。
また、初学者が法律を理解するのはどうしても時間がかかるので、1冊をじっくり複数回読むのも大切です。
「理解できなかったらすぐに他の本を試してみる」という考え方では、どの本を読んでも同じことになりかねないので、注意しましょう。
まとめ
同じテーマについて複数の本を読むと、
- 異なる表現から理解を深めることができ、
- 共通点から本質を見いだし、
- 結果として構造を理解することができるようになります。
タイプの異なる複数の本を使って理解を深めていくのはおすすめの方法ですが、1冊、1冊をじっくり勉強することも大切にしていくと良いでしょう。