行政書士試験で初めて法律を学ぶ、という人は少なくありません。
そんなかたには、最初から行政書士試験のテキストを読むのではなく、法律全体の入門書を読むことをおすすめしています。

法律的な考え方を知っていると試験勉強がスムーズになるうえ、行政書士試験の試験科目ではない刑法などの法律知識も、多少は知っていた方が良いからです。
そんな法律の入門書として、『日本一やさしい 法律の教科書』という本はおすすめです。

この記事では、この本の特徴や効果的な使い方をお伝えします。

『日本一やさしい 法律の教科書』の特徴

この本は、法律初学者が法律のおもしろさを体感できるように、というコンセプトで書かれています。
筆者は現役の京都大学法科大学院生(当時)で、教授の監修を受けています。

内容はおもに、「六法のエッセンス」を紹介する形で進行します。
六法とは、基本的な6つの法令(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)のこと。
これら6つの法律を1つずつ取り上げ、それぞれのもっとも重要な考え方(=エッセンス)を解説していくスタイルです。

『日本一やさしい』とはずいぶん大きく出るなと思いましたが、読んでみると確かに『やさしい』。
最低限の法律用語をわかりやすく説明しながら、六法のエッセンスにどんどん迫っていきます。

本文は、筆者と犬のポチくんの会話で進んでいき、要所要所にわかりやすい図もあります。
一気に読み切れるほどのおもしろさで、あっという間に六法のエッセンスを理解できてしまいますよ。

『日本一やさしい 法律の教科書』ここが行政書士試験に役立つ!

ここからは、この本が行政書士試験の学習にどのように役立つかをお伝えします。

法律学習の良い準備になる

この本は、法律学習に必要な基礎知識がわかりやすく解説されています。
たとえば

  • 法律はどうして必要なのか
  • 法律の解釈に必要な3種類の根拠(条文・判例・学説)それぞれの役割
  • 「要件」と「効果」とは?

このような内容が誰にでもわかるように解説されているのです。

試験勉強を始めると、急に「要件」「効果」などの用語が頻繁に登場して戸惑うことがありますが、この本では、そのような基本的な用語も図を使って説明してくれています。

試験科目の一部を予習することができる

この本が扱う「六法」のうち、憲法、民法、商法は行政書士試験の試験科目に入っています。
試験対策として学ぶ前に、これらの法律の全体像をつかんでおくのは効果的でしょう。

たとえば憲法
勉強するとわかるのですが、憲法は大きく「人権」分野と「統治」分野に分かれます。

でもこの2つは無関係というわけではなく、どちらも国民の自由を守るためにあるんですね。
「〇〇の自由」などの人権規定だけがあっても、国民の自由を守ることはできないんです。

では、司法・立法・行政などの「統治」分野の規定は、国民の自由にどう関わってくるのか?
そこが憲法のエッセンスというわけです。

さらに、民法のエッセンスは、『「本来あるべき姿」と「他人から見た外観」の対立』です。
これもじつにわかりやすく書かれています。

そのエッセンスを伝えるために、「意思表示」や「二重譲渡」「公示の原則」など、行政書士試験でもよく問われる論題が解説されています。

このような説明を読んでから試験のテキストを読むと、理解度が違ってくるでしょう。

試験科目以外の法律知識が得られる

主要六法のうち、民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法は行政書士試験の範囲外です。
しかし、試験科目を学ぶ際にも、それらの知識があればより深く理解できるでしょう。

また、行政書士試験のなかでも、基礎法学や一般知識科目においてそれらの知識が役立つ可能性もあります。
2017年度の本試験でも、第1問が刑法に関連するものでした。

それに、せっかく法律を勉強するのですから、主要六法に関する最低限の知識は持っていたいですよね。
たとえば警察と検察の役割の違い刑事裁判の手続きなど、知っていて損はない情報がわかりやすく書かれていますよ。

まとめ

法律学の入門書にはほかにも良書がありますが、この本は誰にでもおすすめできる本だと思います。
これから試験対策を始めるかたはもちろん、ある程度学習が進んでいるかたも、このような法律入門書を読むことで理解が深まるでしょう。
良ければ読んでみてくださいね!