行政書士試験ではおもに、条文と判例の知識が問われます。
ですから、法律の意味を知るだけではなく、判例学習も必要です。
基本書にも重要判例がいくらか掲載されていますが、本試験での判例の重要度から考えると、もう少し踏み込んだ学習が必要になるでしょう。
私は行政書士試験用に作られた『パーフェクト行政書士 重要判例集』を使用しました。
この記事では、この判例集と、併せて使用した『パーフェクト行政書士 判例問題集』の2冊をレビューします。
『パーフェクト行政書士 重要判例集』の使用レビュー
『パーフェクト行政書士 重要判例集』は行政書士試験対策用の判例集で、約1100件の判例を収録した700ページほどの書籍です。
行政書士試験の科目ごと・各テーマごとに判例が配列されています。
『パーフェクト行政書士 重要判例集』の特徴
判例対策に必要十分な数の判例を収録
約1100件の判例は、行政書士試験対策としては必要十分と言えるでしょう。
基本判例、関連判例、チェック判例の3分類で効果的な判例対策が可能
収録判例は、重要度に応じて3つに分類されています。
基本判例には関係図を使った事例説明があり、判旨の解説も詳しく載っています。
関連判例は簡潔に判旨が掲載され、チェック判例はさらに短い判旨で結論だけを理解できるように構成されています。
初学者・独学者にも理解しやすい
実際の判決文は難解で初学者には理解しにくいもの。そこでこの書籍では、判決文をQ&A方式で記述したり、重要ポイントの解説やコメントを加えることによって、初学者でも理解しやすく書かれています。
過去の出題実績がわかる
過去10年間に本試験で出題された判例には、出題年度と問題番号が書かれています。これを見れば各判例の重要度がわかり、出題予想にも一役買うかもしれません。
『パーフェクト行政書士 重要判例集』を使った感想
私は判例学習として、この書籍の憲法と行政法の部分を2回どおり読みました。
また、問題を解いて知らない判例が出てきたときに辞書的に使用することも多々ありました。
結果として、行政書士試験の対策としては必要十分な判例知識を身につけられたと感じています。
もちろん判例を深く勉強しようと思えばもっと本格的な判例集もありますが、行政書士試験を合格するレベルには十分届くと思うのです。
実際、本試験では知らない判例も出題されていましたが、そのような問題は不正解でも合否に影響しないか、判例を知らなくても解ける問題でした。
判例知識は記述式問題で問われることも多く、2017年度の試験でも行政法の記述式問題が判例問題でした。
(問われた判例はこの判例集に載っているものでした。)
じつは、この判例集でもっともページが割かれているのは民法なのですが、私は民法の判例は読まないことにしました。
この理由については以下の記事でご紹介しています。
追記:『パーフェクト行政書士 重要判例集』は、2018年度版はタイトルを変えて別の出版社から出版されています。リンクを参照してください。
『パーフェクト行政書士 判例問題集』の使用レビュー
『パーフェクト行政書士 判例問題集』は、判例問題に特化した全240ページほどの問題集です。
『パーフェクト行政書士 判例問題集』の特徴
判例対策が必要となる全科目を掲載
憲法・民法・行政法・商法の判例問題を収めており、全科目に対応しています。
基礎知識編で無理なく判例対策を行なえる
書籍の冒頭には、重要判例の判旨の穴埋め問題のページがあります。ここで基礎知識をチェックしてから、過去問+予想問題へと進んでいきます。
重要判例集とのリンクでスムーズに学習できる
この書籍は前述の「重要判例集」とリンクしており、出題判例ごとに該当ページが記載されています。
理解していない判例は『重要判例集』を読み直すことでレベルアップを図ることが可能です。
『パーフェクト行政書士 判例問題集』を使用した感想
私はこの『判例問題集』を2回どおり解きました。
判例問題に特化した問題集は珍しく、オリジナル問題も多かったので、やって損はないと思います。
ただ正直に言うと、オリジナル問題の質をもう少し頑張ってもらえると嬉しいです。
というのも、判例をよく知らなくても正解できてしまう問題が多いんですね。
迷う選択肢が少ないので、消去法で正解に至ってしまう印象です。
この点は最新版に期待というところでしょうか。
追記:『パーフェクト行政書士』シリーズは、2018年度版は出版されませんでした。
まとめ
行政書士試験対策において判例学習は必須となっています。
試験対策専用の判例集は掲載判例数がちょうど良く、説明もわかりやすいので、一冊持っていると心強いでしょう。
判例問題集の方は必須ではありませんが、余裕があれば挑戦してみるのも良いと思います。