2018年、税務経理協会から気になる書籍が発売されました。
こちらです。
正直に言うと私は、「○○日で合格できる!」などと謳っているものはあまり信用していませんし、良心的ではないと思います。
ただこの書籍に関しては、実務本でも評判が高い竹内豊先生が監修していることもあり、手にとってみました。
受験生のみなさんの中にも、この本に興味がある方は多いのではないでしょうか?
この記事では、『99日で受かる!行政書士試験 最短合格術』をレビューし、内容を検証してみたいと思います。
目次
著者は東大卒のライターさん
こうした本を読む際には、どんな人が書いたのかが重要です。
その情報は、内容の信頼性や再現性に関わるでしょう。
本書を書いたのは、フリーライターの遠田誠貴さん。1979年生まれ。
東京大学に独学で合格し、文学部を卒業しています。
行政書士試験は平成28年度に受験し、180点ちょうどで合格されました。
遠田さんは法律知識ゼロから行政書士試験に挑戦し、99日間の独学で合格したとのこと。
”99日間”の根拠については、まえがきで以下のように書かれています。
私は2016年7月中旬に行政書士試験に興味を持ち、主要科目の基本テキストをネット書店で注文しました。
それらを一通り読んで、試験を受けることを決意して7月末から勉強を開始しました。
試験日の11月13日までは99日しか残されていませんでした。
しかも、仕事も続けていたため、勉強できる時間も限られていました。
素直に読むと「99日以上あるのでは?」と感じてしまうのですが、何か事情があるのかもしれません。
いずれにしても、かなりの短期間で合格されていてすごいですよね。
以上をまとめると、本書の著者は・・・
- 東大卒
- 4か月弱の独学で平成28年に受験
- 180点ちょうどで合格
という経歴の方です。
読まれる方は、これをふまえて参考にすると良いと思います。
『99日で受かる!最短合格術』の内容
本書は、第1章で行政書士試験の概略を紹介し、第2章で最短合格の基本戦略を紹介。
第3章から第7章にかけては、科目別学習法や残り期間に応じた勉強法をくわしく説明しています。
第8章、第9章は、最短合格のためのコツや心がまえを伝える内容です。
本書の特色をいくつか取り上げてみましょう。
最短合格のための合理的な勉強法
著者は独学で東大に合格しただけあって、効率の良い勉強法を習得されているのでしょう。
行政書士試験をよく分析したうえで、どこにどれぐらい力をかけるべきかを教えてくれています。
合格基準や科目ごとの配点から合理的な戦略を立てており、受験生が意識すべきポイントが多いと言えるでしょう。
「独学と予備校、どちらがいい?」などの問題に対しても、両者のメリット・デメリットを紹介し、バランスの取れた考え方をされていると感じました。
おすすめ教材を具体的に提案
本書には、著者のおすすめ教材が数多く紹介されています。
どの時期に、どの教材を、どのように使えば効果的なのかを科目ごと細かく説明しています。
ちなみに本書を読んでいると、著者が『公務員試験 新スーパー過去問ゼミ』(スー過去)と『合格革命 肢別過去問題集』の2冊を高評価していることが伝わってきます。
この2冊が効果的な理由や詳しい使い方が語られているので、参考になるでしょう。
全体を通して、この2冊を含む20冊以上の教材が紹介されています。
著者独自の合格戦略
本書では、著者がすすめる勉強法として独特なものもいくつか紹介されています。
たとえば、「商法は捨てる」「六法は不要」などの主張です。
よく読むとそれほど極端な戦略ではないのですが、意見が分かれがちなテーマについて堂々と言い切っているところがすごいと思います。
本書を読んだ感想・おすすめの読み方
本書を読んで、著者は行政書士試験というものをよく理解しておられると感じました。
紹介されている合格戦略はおおかた、一般的によく言われているものですが、初めてこの試験に挑戦される方には参考になると思います。
使った問題集やその特徴についてはとくに詳しく書かれているので、これから教材を選ぶという方にもおすすめです。
個人的には、学習戦略や使用教材に共通点も多く、「そうそう、そうなんだよ!」と思うところが多かったです。
本書には、短期合格者の一体験談として価値があると思います。
ただし、本書を読んだからといって99日間で合格できるかはわかりません。
合格に必要な期間は、個人の能力や環境によって大きく異なるからです。
私の体感から言えば、知識ゼロの状態から99日間で合格するのは、ほとんどの人にとって非現実的だと思います。
まとめ
『99日で受かる!行政書士試験 最短合格術』は、行政書士試験について合理的に分析し、学習戦略を立てるうえで役立つでしょう。
各教材の使い方も具体的に書かれているので、参考にできると思います。
著者の経歴もふまえつつ、自分なりにアレンジして戦略を立てることをおすすめします。