2018年11月28日、『判例六法』を使った勉強法について下部に追記しました。
行政書士試験の勉強にはどんな六法が最適でしょうか?
これに関しては、意見がさまざまに分かれます。
- やはり行政書士試験用に作られた六法が効果的だ
- ポケット六法を使い、勉強した条文にチェックを入れていくべし
- 判例六法で判例をチェックすると良い
行政書士試験の講師の間でも意見が分かれており、初学者は迷ってしまいます。
この記事では、法律初学者・独学者として挑んだ私の考えをお伝えしたいと思います。
もちろん、専門家でも意見が分かれているほどですから、人それぞれ合うものは異なるでしょう。
この記事がこれから勉強される方の参考になれば幸いです。
行政書士試験六法は、買ったものの使わなかった
私は勉強を始めた当初、友人に勧められて行政書士試験用の六法を購入しました。
買ったのはこちらです。
まずは、この六法のメリット・デメリットをみていきましょう。
行政書士試験六法のメリット
- 行政書士試験に必要な法律だけが載っている
- 条文ごとに関連判例・過去問が掲載されている
- 条文ごとに出題された年が明記されている
たしかにこの六法を駆使すれば、行政書士試験のエキスパートになれそうです。
行政書士試験六法のデメリット
- 分厚くて持ち運びが大変(1200ページほどあります)
- 関連判例や過去問がスペースを取っているため、条文素読がしづらい
分厚いのは仕方ないのですが、持ち運びに苦労します。
家で勉強するとしても、分厚いため気軽に引くことができません。
テキストや問題集に出てきた条文をチェックする作業は大切なので、ここはデメリットです。
分厚くなる原因はおもに関連判例や過去問にスペースを多く使っているからですが、もう1つ、会社法がかなりのページ数になっています。
(条文数が多いので仕方ないのですが。)
会社法は行政書士試験においてはマイナー科目。条文を読み込むところまでする人は少ないと思われます。
関連判例や過去問は参考になりますが、判例は判例集で詳しく読むこともでき、過去問は5年分ほどを解いて自分で分析できるという考え方もできます。
以上の理由から、私は行政書士試験用の六法を開くことはほぼありませんでした。
おすすめの六法は?
私のおすすめの六法は、伊藤塾の『うかる!行政書士 総合テキスト』などに付録としてついている「薄型六法」です。
「付録なんかで済ませていいのか?!」と思われるかも知れませんが、大丈夫です。必要なものは入っています。
私が使ったのは伊藤塾のテキストに付属していたものですが、この六法が収めているのは憲法・民法・行政法の条文だけです。
商法・会社法は載せられていません。
内容はひたすら条文が載っているだけ。
判例も過去問も解説もありません。
まずこの六法の良いところは、1cmにも満たない薄さ。これならいつでもどこでも持ち運べます。学習時にも気軽に参照できます。
そして、条文しか載っていないので、条文の素読に最適です。
憲法・行政法は、条文の読み込みが大切。
1条ごとの意味を理解するのも大切ですが、法律の全体像をつかむのが大切なんですね。
私はこのハンディ六法にずいぶん助けられました。
「会社法もしっかり条文を読み込みたい!」という方でなければ、この六法で対応可能だと思います。
デメリットとして、この六法はあくまで付録なので、テキストを購入しないと入手できません。
テキストとしてほかの本を使うのであれば、ハンディ六法だけのためにわざわざこのテキストを買うのは躊躇してしまいます。
追記:2018年度版では、『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』という基本書にも薄型六法が付くようになりました。重要ワードが赤文字になっているのも良さそうです。
さらに2019年度版では、LECの基本テキストにも薄型六法が付属するという情報があります。
一冊もののテキストには、薄型六法が付くのがスタンダードになってくるのかもしれませんね。
追記:『判例六法』を使った勉強法について
ツイッターを見てみると、「『判例六法』を使った学習がもっとも効果的」という声が見受けられます。
『判例六法』は有斐閣が出版している六法で、条文ごとに重要な判例が短く掲載されているものです。
行政書士試験においては条文と判例の理解が不可欠なため、この『判例六法』を使った学習が理想的というわけですね。
具体的には、過去問や模試などに出てきた条文や判例にしるしを付け、頻出ポイントが浮き彫りにしていくことを勧める意見が多いようです。
また、学んだ知識を書き加え、六法に情報を一元化していく人も少なくありません。
さらに『判例六法』には行政法総論を解説した章があり、行政法の理解に差が出るとの声も。
条文と判例が重要であることは間違いなく、この六法を使いこなせば強力な武器になることでしょう。
一方で、『判例六法』の使用に注意を喚起する意見も聞かれます。
たとえばLECの横溝慎一郎講師はブログで、次のようにおっしゃっています。
特に独学の場合に、学者本や判例六法を使って勉強するのは非常に高度なテクニックを要します。
(引用元:横溝慎一郎行政書士合格ブログ)
行政書士試験の受験生は法律初学者であることが多いので、シンプルに条文と判例が並ぶ『判例六法』を使いこなすのは難しい、ということかもしれません。
『判例六法』を使っていくつもりなら、それ相応の覚悟が必要と言えそうです。
六法に関してはさまざまなアドバイスがあるので、自分に合った勉強法を見つけられるよう、比較検討する必要があると考えます。
まとめ
私は半年間の独学経験から、行政書士試験用の六法よりもシンプルな六法が良いと思いました。
しかしながら、最適な勉強法やツールは人によって異なるため、試験六法や判例六法が合う方もいるでしょう。
それぞれの特徴を考慮し、じっくり選ぶことをおすすめします。