Amazonで行政書士試験に関する書籍を調べていると、行政書士試験の裏技を教えてくれる本を見つけました。
こちらです。
「ウラ技を使ってスラスラ解ける」
「本試験の問題が、ものの数秒で解ける」
なんとも魅力的な文句が並んでいます。
内容が気になった私は、さっそく購入して読んでみました。
この記事では、『スラスラ解ける!行政書士 ウラ技合格法』を率直にレビューします。
目次
『行政書士 ウラ技合格法』の内容
この本は、以下の3編で構成されています。
- 過去問分析の重要性編(分析①~③)
- ウラ技編(テクニック①~⑱)
- 学習テクニック編(テクニック⑲~㉕)
第1編 過去問分析の重要性編
第1編は、全体的な過去問分析です。
確かに過去問分析は重要です。
科目ごとの配点や出題傾向を知ることで、学習戦略が決まってきます。
第1編はページ数にして20ページ弱なので、サクッと読めます。
第2編 ウラ技編(テクニック①~⑱)
第2編は、本題である「ウラ技」の紹介です。
現在の試験形式になった平成18年度以降の過去問を詳しく分析し、著者が発見した「ウラ技」が解説されています。
いくつか例を挙げると、
- 問題の表現から正解を推測するウラ技(「○○という表現がある肢は誤り!」など)
- 時間を効率よく使うための図の書き方
- 行政法で押さえておくべき頻出の論点
などが、合計18のテクニックとして紹介されていました。
行政法の頻出論点などは、裏技というよりも一般的な参考書に近い内容です。
ですから、いわゆる裏技と言えるテクニックは、半分ほどだと思います。
問題の文言から正解を推測するウラ技は8つ挙げられていますが、そのうち6つは同じ原則に基づくものなので、私なら1つにまとめたいところです。
どのウラ技も、100%使えるというわけではなく、例外も存在するとの解説があります。
過去問分析の結果として、各ウラ技がどれほどの確率で使用可能なのかも明示されています。
第3編 学習テクニック編(テクニック⑲~㉕)
第3編は、各科目の重要テーマの解説です。
テクニック⑲~㉕となっていますが、いわゆる裏技というよりも、参考書的な内容となります。
第2編で扱われなかった憲法、民法、一般知識の重要ポイントを解説しています。
民法を横断理解する方法などが説明されているので、知識の整理に役立つかもしれません。
『行政書士 ウラ技合格法』の個人的評価
この本は、手軽に使える多くの裏技を紹介した本というよりは、各科目の重要ポイントを解説した本という印象です。
たしかに裏技と呼べそうなテクニックもいくつかありますが、「問題文の表現から推測する」系のウラ技はすべて同じ原則に基づいています。
そしてその原則は、人に教えてもらうのではなく、問題演習の過程で自然と身につけるべき感覚ではないかと思います。
もちろんどのウラ技も、正確な分析に基づいており、本試験で効果を発揮する可能性は十分にあるでしょう。
ただし、どのウラ技も100%使えるものではなく、テクニックを使うと間違えてしまうこともあることが説明されています。
本試験で自分の回答に確信が持てない場合、ウラ技に惑わされて逆に失敗する可能性もあると思います。
『行政書士 ウラ技合格法』はこんな人におすすめ!
以上の評価をふまえて、この本をおすすめしたい人を挙げておきます。
・リスクを計算してウラ技を使いこなすことができる
本試験で解答を迷った場合、ウラ技に頼る可能性があります。
どのウラ技にも例外(使うと失敗する場合)があるので、各ウラ技のリスクを計算して使う力が必要でしょう。
・行政書士試験のデータ分析に関心がある
この本では、特定の出題パターンに対する解答データなどが詳しく分析されています。
5肢選択式問題において、各番号が正解になった回数や割合も表になっています。
・各科目の重要ポイントをつかみたい
各科目で押さえておきたいポイントがまとめられています。
解説も詳しく載っているので、知識を深めるのに役立ちそうです。
ちなみに、この本のウラ技は以下の6種類に分類されています。
- ラク技
- チョイ技
- 必殺技
- 職人技
- キメ技
- 反則技
職人技と反則技を同じ「ウラ技」と括ってしまうあたり、著者の並々ならぬセンスを感じます。
文体も楽しく書かれているので、効果的な裏技が身に付くかどうかはともかく、楽しく読める参考書だと思います。
まとめ
『行政書士 ウラ技合格法』は、多くの裏技によってラクラク合格できると思って買うと期待はずれになるでしょう。
しかし、斬新な切り口の参考書として読めば、役立つ情報も多いと思います。
ただし、ウラ技を知っているがゆえに迷いが生じるということもあり得るので、自信がない方は注意してください。
私が個人的におすすめしている参考書については、以下の記事をご覧ください。